エックス線の減衰
物質通過中の減衰
エックス線が物質中を通過するとき、強度 I は、
通過する物質の厚みが大きいほど、物質の吸収係数が大きいほど、
指数的に減衰していきます。
エックス線強度が半分に減衰する厚さを半価層と呼びます。
エックス線と物資の相互作用
エックス線が物質を通過して減弱する原因は、エックス線と物質の間で吸収や散乱といった相互作用が働くためです。
吸収や散乱の相互作用とは何でしょうか?
吸収による相互作用
- 光電効果
- 電子対生成
エックス線光子が内核電子を原子核の外側にはじき出して、光子は消滅する現象
エックス線光子は消滅し、その代わり陽電子と陰電子の対が発生する現象
散乱による相互作用
- コンプトン散乱
- レーリー散乱・トムソン散乱
エックス線光子が外核電子を原子核の外側にはじき出して、光子も方向を変えて散乱する現象
エックス線光子が電子と衝突し、光子の運動方向を変わる現象
どの現象が減弱の要因となるかはエックス線光子のエネルギーと物質の原子番号で決まります。
空気中の減衰
エックス線が空気中を通過するとき、強度 I は、距離の L の2乗に反比例して減衰していきます。
例えば、エックス線源と被ばく対象物の距離を1mから2mに離すと、被ばく線量は4分の1に減ります。